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未知との遭遇

 私がリシアとであったのは、水槽を初めて起ちあげてすぐのことでした。しかもリシアと知らずに育てていたのでした。
それは水槽を起ちあげ後、はまりかけの水槽ライフのおかげで、本を熱心に読んでいるときでした。
ウィローモス:流木等に糸で縛ると2ヶ月ぐらいで活着し、良い味わいになる。
「ふーーん、なるほど」 (ホワッホワッ…想像している)
「よし、これを購入しよう」
と安易に思った私は早速ホームセンターの熱帯魚売り場に駆け込んだのでした。

お店に着いて水草売り場を見ると何やら密閉されたビニール袋に入った「ウィローモス」らしきものが水の上に浮いています(片手大)。
「なんだ、あるじゃないの」
と安心し、更に物色すると、葉の色が2種類ある事に気が付きました。
濃い緑色と鮮やかな緑色???。
「どちらが良いのか判らないから両方購入しよう」と思い各2袋ずつ購入し、家路に帰ったのでした。
値段は、濃い緑色が380円で鮮やかな緑色が480円だったと記憶しています。

 家に帰り、本の絵を見よう見まねで購入した物体を流木に巻き付ける。
「木綿の糸で巻きつける」と本に解説してあったが、絹糸で巻き付けてみました。
(結論から言えば、両方の糸も2ヵ月もすると融けてなくなり、糸は自然に消滅します)
問題は、「色の違いをどうレイアウトするか?」ということで悩みました。そしてこの時、見た目から種類が違うということも発見しました。
「ふーーん、ウィローモスって種類があるんだ」と呑気に思い(まぁ実際に種類はあるんですが…)「そーだ流木に色の違いを表現して巻き付けよう」という結論に達し、実行しました。
<-こんな感じで巻き付けた。
「これが活着するときれいになるぞ」なんて思いながら。
その他残ったウィローモスも石とか他の流木に種類ごとに区分けしてレイアウトしました。

それから2週間…。
濃い緑は管理が楽なんですが、鮮やかな緑は流木や石からすぐ離れて浮いてくるんです。
つまり、毎日のように浮いた葉を流木や石に付け直すといった作業が続くのです。
中には、濃い緑の中に絡んで浮いてこないのもあるので、最後には面倒くさくなり、鮮やかな緑の葉は濃い緑の中に埋め込むような形になりました。
そして、それとともに固体数も少しずつ減少し始めたのです。

ある日、友人に話の種として経験を話すと、
「それはリシアじゃないの?」
「ウィローモスは根があって絡むけどリシアは浮き草だよ」 ニヤリとしながらそう言ったのでした。
が…、がびーーん。
「知らなかった…」
言われて良く思い出すと確かに根はなさそうだぞ!
本の写真でゴルフ場みたいなレイアウトがあるけど、あれがそうなのか…。

そして、この瞬間から多くの疑問が生まれてくるのでした。
1.浮き草をどうやって沈めるの?
2.ゴルフ場のレイアウトはどうして密生させるの?
「こうなったらやるしかない」…また独学でやってみようという悪い癖で早々に水槽のふたを開けるのでした。

どうやってレイアウトするの?

正しいレイアウトのセッティングを知らない私は、最初リシアを1本ずつ砂にピンセットで挿しました。
苦労して挿し終えたレイアウトは砂漠のサボテン状態のようです。
まばらなリシアの向こうから「ハイヤッ!」とか言ってカウボーイが駆けてきそうです。
面倒な部分は所々リシアをまとめて底に沈め、砂をパラパラとかけました。
そして、育成…。駄目です…。固体数がどんどん減ります。(うーーん、この頃かな?)
おそらく、砂に挿した部分に光があたらず枯れてしまい、浮いてくる。浮いたリシアをまた砂に挿す。どんどん短くなる。
このマントラのような繰り返しを経て、ショップに走るのに時間はかかりませんでした。
リシア2袋…。
「買ってしまった」

 ショップに行ったついでに本屋さんに寄り、リシアについて書いてある本を立ち読み…。
「リシアネットを敷き詰めます??」(絵付きで解説してあった)
「なんだそれは?」
その本を購入し、またショップに舞い戻り、リシアネットなるものを探す。
「あった! でも高い!」 ステンレスで約3〜4mmぐらいの大きさの目がある網。
小ぶりなネット5つ(?)ぐらいで1,200円ぐらいだったかな? 物は試し、リシアネットを購入して家に戻ります。



さて、購入したのはいいけれど、「どうやって使うの?」です。
本の絵を見るとネットにリシアを入れて底に並べることはわかります。
「でも、レイアウト写真のような光景とまるで違う」ということが予想できます。まず、リシアを入れるためにネットに高さがあるではないですか?
これでは底に段差が出来てしまう…? 「そーかネットの上部だけ出るように砂に埋めるのか…」
そして後はネットの間からリシアが成長すると「あのレイアウトのように…」
底砂をリシアネットの高さ分だけ掘り、ネットを密着して置いたらサイドから砂をかぶせる。
「できた!」 まるで地下鉄の排気口が道路に出ているような感じでレイアウト終了。

 時々ネット内に砂が入ったりサイドから砂が進入して管理がたいへん。しかも一向に増えない。ぺんぺん草状態が1ヶ月も続きます。
「おかしいぞ!」 ネットの中ではリシアが枯れて固体数も減って行く…。しかもネットが砂の上に浮いてきたりする。仕方ないから掘って沈める。
このマントラのような繰り返しを経て、またまたショップに走るのでした。
リシア2袋…。
「買ってしまった」

 少しは知識の付いてきた私は、「光とCO2(二酸化炭素)」が必要だと知る。
CO2は無理としても光は納得できる。つまり、ネット内にリシアを詰めすぎて光量不足なのでしょう。
そして、「リシアネットは砂の上に置くだけでは?」ということです。
CO2に付いてはショップで試しにリキッドタイプのCO2添加溶液を試しに購入(まぁ気休めにです)。
「今度こそ…」
本の絵を良く観察し、ネットは密着させて置かなくても良いと判断し、リシアを適当に詰め、ネットを砂の上に配置するだけ。
順調に生育。ネットの間からリシアが出てきてネットが見えないほどに「こんもり」成長。
でも、きれいなレイアウトとは天と地のほどの違いがあります。
まず私のリシアは色が濃く、きれいでない。
ネットからはみ出すリシアに品格が無い。
ならんだリシアネットの光景もまるで古墳群のようにこんもりしている。

これでいいのかな?

色が濃いのは、光量不足とCO2不足でしょう。
レイアウトが悪いのはリシアネットが小さいからでしょう。しかし増え方はすごいです。
水槽の起ち上げから数ヶ月の経過で水質の安定が良いのか、CO2リキッドが良いのか、その後導入したCO2システムが良いのかは不明です。
しかし、この時増えたリシアが広大な草原レイアウトに一役駆る様になったのはずいぶん先のお話(1年後)。
最盛期には、幅60〜70cmのリシア大平原を創出し、そこから上がる酸素の気泡は幻想的でもありました(やった!と言う感じですか)。
その時までリシアには随分悩まされました。
でも、その経験からリシアネットの自作等を思いつき、いつかのリシアレイアウトのために下積みをしたと言えます。
途中、照明の老朽化による光量不足でリシアが増えなくなったり(これも原因が分かるまで悩みました)、苔に襲われたり…。
今思えば、60cm水槽で上部濾過(照明は18W×2本)、CO2時々、で良く増えた方だと思います。
水質も本当は良くなかったのでしょう。その方がリシアは増えるのです。
あるいは液化肥料の添加が良かったのかもしれません。
現在の水槽は、光量いっぱい、CO2いっぱい(でもないか)、しかし水は貧栄養化にしているのでリシアが思うように増えません。
やはり、リシアが増えたときは水に栄養があったのでしょう。その分苔の発生もしやすいですが…。

手間と根気のいるリシア、「一度は草原を作ってみたい」と思わせる不思議な水草です。
私の水槽では一度草原を作った後、今では細々とリシアが水面に浮いているだけです。
「あの情熱は何だったのでしょう?」 と水面に浮いているリシアが増えない様に時々捨てている自分に問いかけています。

《参照:リシア


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