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総合評価としては評価が低いように見えるが、鄙びた温泉を好む人にとっては何とも言えない良い味を出している。秘境、秘湯、という言葉の持つ力を味わいたいのなら訪れてみるべきである。
浴槽は混浴の1つのみ。その浴槽に湯の花を抱えて湯が注がれる。少し高い温度の湯は木の枠で区切られた隣の浴槽に浸みわたり温度を下げる。そしてまたもう1つ区切られた浴槽は最後にぬる湯となる。源泉かけ流しと言うより、浴槽の木の隙間から溢れ出ているかけ流しというのも面白い(源泉湯量が減り淵から溢れ出なくなった?)。
古くから湯治場として知名度のあった西山温泉。その神髄に触れることのできる施設である。
宿泊もできる。
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営業時間 |
10:00〜15:00(日帰り温泉:1000円) |
定休日 |
なし |
泉質 |
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物質
癖のない湯だが、湯の花多し |
施設・お風呂 |
・段階的に温度を下げていく内湯1 |
入浴経路 |
駐車場は道路反対側
受付を終えると、建物裏側にある温泉施設へ行く。
脱衣所は男女別だが内部で混浴 |
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蓬莱館遠景 |
受付 |
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この蓬莱館の前には慶雲館(2008年から日帰りを中止している)という立派な温泉宿があり、西山温泉のイメージが良く分からなくなっている。
明らかに鄙びた雰囲気の入口で受付をすると、建物の奥に案内され、いったん外へ出る。そして、裏手にあたる建物に入るとそこに浴室がある。裏手の建物は往年の湯治部屋を思わせる部屋が並び、かつての賑わいを想像させる。浴室手前の脱衣所は男女別になっているが、浴室に入ると一緒になる。つまり混浴風呂である。 |
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往年の湯治場を忍ばせる部屋 |
脱衣所入口 |
脱衣所・浴室は混浴 |
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浴室は大きな窓で構成された明るく清潔感が漂う造りになっている。もちろん、外からも丸見えだろう。
浴槽を木の板で仕切り温度を下げる構造なので、仕切られた3か所の湯温はそれぞれ違う。浴槽は深く、半身浴に適さないが、低めの浴槽は長風呂好きにちょうど良い。原泉付近41度前後から最後の浴槽は38度前後となる。ただし、当然ながら季節によって多少違う。
浴槽には湯の花がかなり浮いており、特徴の無いように見える湯にも説得力を与えている。実際に飲んでみても、弱い硫黄分に少々の塩味を感じる程度である。皮膚感は湯あがりに軽いべとつきを感じるので、見た目より成分が濃いのかもしれない。 |
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広い大きな窓 |
源泉から段階的に冷ましていく構造 |
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源泉湯量が減ったと同浴した湯治客が語っていた。正面下の旅館で井戸を新設したからであろうか?詳細は不明だが、確かに写真を撮る日は湯船から溢れる湯の量が少なかった。もっと浴槽の淵から大量に湯がかけ流されていた印象があるので、なるほどと思った。もしかしたら、たまたま湯量の少ない日だったのかもしれない。
(私のイメージする)日本人というのは心のどこかに郷愁というDNAが潜んでおり、時々そのスイッチがONになるのではないかと思ってしまう。この浴槽に身を沈めていると自分はずっとここに居たんじゃないかと勘違いするような気分にさせられる。それはつまり、懐かしさであり、施設の充実度云々では無い。子供のころ見た、日本昔話の原風景が郷愁を誘い鄙びた温泉も肯定してしまう力を持つ。
もう一度記すが、総合評価は低くてもこれはアリな温泉施設である。
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周辺地図
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■山梨県南巨摩郡早川町湯島73
■TEL:0556-48-2366
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