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【フジマリモ】
河口湖でマリモが発見されたのは、1979年、勝山村地内においてです。
マリモは湖の伝説を語り、永遠の美しさを願う象徴です。
お嫁さんをもらうとしたら、どんな人がいいでしょうか。おかよさんは、器量がよくて、やさしくて、そのうえ力もちで亭主につくしました。
その昔.大嵐村に、カもちで知られる伊左ェ門という者があり、おかよという妹がいました。おかよは日に日に美しくなリ、やがて、となリ村の勝山の若い者に見そめられ、嫁入りしました。
若い二人は、貧しいながらもカを合わせて畑をたがやし、幸せな毎日をおくっていました。村の人々からも、にあいの夫婦だと、うらやましがられるほどでした。このおかよが、さらに村のひようぱんとなったのは、あるタ立の日からです。
暑かった夏の一日をおえ、亭主(ていしゅ)は庭先の野天風呂に入リ、のんぴリ一日のつかれを流していました。するとにわかに空がかきくもり、ぶきみになってきました。そして、とつぜん大降りになりました。これを見たおかよは、思わず駆け出し、「ヒョイト!」亭主の入った風呂ごとかかえあげ、家のなかまで運びこみました。
亭主はぴっくりしましたが、われに返ったおかよもぴっくりしました。おかよには、兄の伊左ェ門と同じ、力もちの血が流れていたのです。それが、亭主を思う心によってあらわれてたのです。
おかよの怪カは、このことをきっかけに、さらに発揮(はっき)されていきました。おかよは毎日河口醐まで、水くみや洗耀にかよっていましたが、風呂をたてる日などは、何回もおけにくんで運ぶのはめんどうと、風呂おけを湖までかかえていき、なんなく水を汲み上げていきました。
また、洗濯の帰りには、湖のほとりの大石を頭の上にのせて、せっせと持ち帰リ、家のまわリに積んではりっぱな築石囲いをつくってしまったと云われています。
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