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【富士山と八ヶ岳】
標高は3776m。わが国の最高峰で、日本の山河の象徴です。
一方、背くらべの相手の八ヶ岳で最も高い峰は赤岳で、2899mです。
富士山とハヶ岳は、ともに日本で名のある高い山です。しかも、毎日向かい合っています。大昔、高さをきそって、背くらぺをしました。
大昔、日本と大陸は陸続きて、見わたすかぎりの大平原でした。そのなかで、ひときわ高くそぴえている山がありました。富士山と八ヶ岳です。
あるとき、富士山の女神の浅間(せんげん)さまと、八ヶ岳の男神の権現(ごんげん)さまが、「いったいどちらが高いのか」と、言いあらそいをはじめました。「わたしのほうが高い」「いや、わしのほうじゃ」と、お互いにゆずリません。
そこで、二つの山の神さまは、木曽(きそ)の御岳山(おんたけさん)の阿弥陀如来(あみだにょらい)さまに頼んて、背くらべのはんてい役をお穎いすることにしました。「さて、どのようにしてくらべたらよいものか…。」阿弥陀如来さまは考えこんでしまいました。
なん日もしあんしたすえに、めいあんが浮かぴました。「二つの山のてっぺんに、長いといをわたし、水を流したらどんなものか。水は高いほうから、低いほうへ流れていくはずだ」
背くらべの日、冨士山も八ヶ岳も、ともに自信をもってむねをはりました。阿弥陀如来さまは二つの山にといをわたし、さっそく水を流してみました。水は、冨士山のほうへと流れていきました。大昔は、富士山よりも、八ヶ岳のほうが背が高かったのです。
八ヶ岳はとくいになりましたが、気の強い冨士の女神さまは、くやしくてなリません。思わず八ヶ岳の頭を、ごつんと、なぐってしまいました。
すると、八ヶ岳の頭は八つにわれてしまいました。
この日から、富士山は日本一の山になリ、八ヶ岳は今日の姿になったということです。