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手順の確認

さぁ、いよいよ水槽立ち上げの日。特に地鎮祭を行うわけでもないので、立ち上げ手順を整理することから始めます。
なにせ、水だけ考えても膨大な量なので、手順が狂えば水の移動だけとっても大変です。
また、水の置き場所も考慮しないとその重量のため、簡単には移動できなくなります。それに、魚の移動手順、砂の移動手順、水草の…とすべての作業行程が確定しないと一時保管や入れ替えに支障がでます。
そこで、ビル建築の際に用いる作業運行表よろしく大型水槽立ち上げ運行表の確認です。

  1. まず、2つの水槽内の水草をバケツにすべて引き払います。
  2. 1つの水槽の水をポリバケツに空け、入っている魚もポリバケツに全て移します。
  3. 上の残りの砂を150cm水槽に移します。
  4. もう一つの水槽の魚をポリバケツに移したら、砂を150cm水槽に移します。
  5. 洗ってある砂を150cm水槽に半分移し、肥料をまぶします。そして残りの砂を150cm水槽に移します。
  6. 器具、水草をセットし、60cm水槽の残りの水を150cm水槽に移します。
  7. 60cm水槽に必要な分の砂を新規に投入します。

以上の手順でバクテリアの損失を防ぎながら150cm水槽の立ち上げができるはずです。
その後は、ポリバケツ内部の水と魚を一気に150cm水槽に移し、足りない水を補給すれば完成のはずです。
計算によると、150×45×45=303750。36×30×30×2つ分=64800。つまり、3/4の水替えに相当。実際には砂等もあるので2/3相当の水替えを150cm水槽に行ったのと同じ結果になると思います。
経験から(60cm水槽の)この程度の水替えは良く行っていたので大丈夫だろうと踏みました。
心配なのは外部濾過器にバクテリアが定着していないことですが、思い切って実行に移すことにします。

実際の作業

さて、実際の作業はどうなったのでしょう?予定通りきちんと進行したでしょうか?

まず、予定通り全ての水草と器具等を60cm水槽から取り去ることから始めます。次に1つめの60cm水槽から水と魚を全てポリバケツに移します。
この時床には、150cm水槽を梱包してあったビニールを敷き詰めておきます。
ここで、1つめの60cm水槽を別の場所に移し、移した先の水槽にもう一つの水槽の水を移動させます。こうすることにより、もう1つの水槽も移動させることができます。
そして、既に加工済みの板と発泡スチロールとともに150cm水槽をサイドボードの上に置きます。場所を慎重に決め準備完了です。
もちろん、バックスクリーンも取り付けてあります。

次は水槽内の砂に傾斜を付けるために加工済みの2cm厚の発泡スチロールを階段状にセットします。
発泡スチロールは水に浮くことが予想されるので1段1段両面テープで接着しました。
ここで水の無い60cm水槽側の砂を水槽内に投入です。
この作業を始めたらもう引き返せません。
この60cm水槽はベアタンク(砂の無い水槽)での飼育を予定しているので、砂を1つ残らずきれいに移します。

そして、残った水の入っている60cm水槽から砂を適当にすくい150cm水槽に移します。水の入っている水槽から砂をすくう作業は意外に手間取るもので、きちんとしたスコップがあれば便利だと感じました。
その後、新しい砂を1袋投入し、前面が低くなるように馴らしました。
この上からテトラ製の立ち上げ時に使用する肥料と一般の園芸用の肥料(ハイポネクス)を撒き、その上に新しい砂を1袋残して残りの砂をすべてかぶせました。
注:肥料なんて、どの肥料でも成分は同じです。単に比率が違うだけなのです。だから実験のためにハイポネクスを使用しました。河口湖山草園から調達。

以上の作業が完了すると、150cm水槽は動かすことができない状態になりました。
続いて、ヒーターと流木・岩の位置を決め配置します。
この時、排水とシャワーの場所を考慮して作業を進めます。
だいたいの場所を確定したら、60cm水槽に残っている水を投入します。そして水草が植えやすい量になるまで新規に水を追加します。
そうですね、水槽の7割程度まで追加したでしょうか?
心配していた発泡スチロールも浮いてこなかったので、外部濾過器系統の配管を行います。
この作業はシミュレーション済みなので、さしたるトラブルも無く終了しました。そしていよいよ外部濾過器に電源投入です。
説明書の通り呼び水も行っておいたので直ぐにシャワーから水が飛び出してきました。


ここで一服です。水が少し澄むまで待つことにします。
焦ってはいけません。この日を夢見てレイアウトをあれこれ想像していた通りにセットできるか少し離れて(物理的にも精神的にも)現状を観察します。

…しばらくすると、水が澄んできました。「さすがパワーフィルタ、能力が違う」などと感心してしまいました。
さて、ふたたび作業開始。
この時ふと台の支えに使用するはずだった余りのレンガを見つけ、「レイアウトに使えないかな」と思い、水槽に沈めて色々配置を試したくなりました。
するとしばらくして、レンガ付近から泡が出ているではありませんか。
「ぎ、ぎくっ!、入れたときに水槽へひびが入ったか!?」と勘違いして、全ての準備と投資した金額が深い闇に吸い込まれていくような感覚を覚えました。
「水漏れは?」「いや、レンガの中の空気だ!」と交互に不安と否定が交差しました。
なぜなら、泡は一向に治まらず、20分ぐらいは出続けていたからです。ピュル、ピュル…という音を立てながら。
結局レンガの空気でしたが、ゆったりしていた雰囲気はこの瞬間に崩れたことを今でも鮮明に覚えています。
それほどショックでした。考えてください、計画して準備していたことが瞬間に無くなりそうだったのです。
「おいしそうなアイスクリームを買って、うれしくて走っていたら転んだ」とはスケールが違います。
っと、話がずれてしまいました。


とにかく、そんな訳でバケツと床に散乱している水草を予定通り砂に差します。
私は「づぼら」な部分もあって、水草をピンセットで植え込むという細やかな神経が無いので、水草の根元を持って無理矢理砂に押し込みます。
それでも作業は大変で、水槽が大きいと横から見ながら植え込むことが難しいのです。
更に悪いことに夜もふけてきたので、水槽内部が暗く見え難いのです。そこで、電気スタンドを水槽の縁に立てて作業を続行しました。
時々そのスタンドが水槽の中に蛍光管まで落ち、慌てて拾いもしました。今までも、水槽上部の蛍光燈が水槽に落ちて拾いもしましたが、良く考えると感電の危険もあるわけですよね。
この時「水槽内の水が古い方が感電しやすいのかな」なんて考えたりします。

一通り、水草を植えたところで深夜になり(はじめてから8時間は作業していたかも)、蛍光燈を上に乗せ予定の作業を終わらせることにします。
そして、しばらくは自分の労働の成果に酔いしれ、酔いしれついでにビールで祝杯です。

<-これが実際に配置した水槽群です。横幅は2つの水槽を合わせて210cmあります。

ビールを片手に眺める水槽はまた格別です。60cm水槽と違い臨場感があるのです。
良くワイドTVのコマーシャルで「人間は視野の横に切れ目があると覚めてしまう。視野の中に切れ目が無いワイドTVは臨場感がある」といっていましたが、まさにそのとおりだと思います。
まるで水族館の水槽の前に立ったような、まるで水の中に居る風景を切り取ったような、そんな気になります。
今は見慣れているせいか「もっと高さを、もっと幅を…」ですが、初めて目の当たりにする150cmは立派に見えました。
当然、友人の120cmでさえ小さく感じます。この瞬間に私は友人の師匠になったのです。
セットから2日間は水槽内が白濁りしていましたが、前の砂と水を使用したためか3日もすると水も澄んできました。
そこで60cm水槽に待避させておいた魚を投入してミッションは終了です。

魚も入っていよいよ新しいアクアリウム・ライフの始まりです。
これでしばらくは餌を与えるだけの日々になる…。
と思ってはいけません。
更に更に深みに落ちていくのでした。


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