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何處か日本の國でない遠い所へ来たやうな氣がしたが、それは眼に訴へる山の形や水の色が変つてゐるからと云ふよりは、むしろ触覚に訴へる空氣の肌ざわりのせゐであった。
彼女は清洌な湖水の底にでもゐるやうに感じ、炭酸水を喫するやうな心持であったりの空氣を胸一杯吸った。谷崎潤一郎
細雪より敷島の松がうっそうと湖面までおおわれ、静かで空気が済んでいて、神秘的な思いがする。
そんな場所で「谷崎潤一郎」は思いにふけって、「細雪」の詩をよんだ。
冨士御室浅間神社の氏子青年(若衆)が真夏の日照り続きで農作物が旱魃に見舞われた時に、雨乞いの神事が行われた。
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