富士吉田市では時々不思議な現象が起こっている。富士吉田市は、これといった観光地も無い街なのだが、「いとりきはどこですか?」という質問が街のあちらこちらで問い掛けられている。
ここでいとりき(糸力)の説明をしなくてはいけない。糸力の大将(マスター)である宮下さんは、もともと富士吉田市の出身。若い頃は各地で修行をし、一時はトンガの料理番にならないか?といわれたほどの人物。1980年ごろ甲府市に地酒の店をオープンさせ、山梨県に地酒ブームを巻き起こした。
その後、1990年ごろ生まれ故郷である富士吉田市に戻り、地酒の店(現在の糸力)をオープンした。お店の評判はたちまち伝わり、地元はもとより県外からもその味と地酒を求めて人が集まるようになった…。
と、まぁ、ここまでは地元にある有名なお店の物語だが、現在、日本中から糸力を求めてやってくる人々の多くは地酒が目的ではないのだ。もちろん、そちらを目的にしてやってくる人は大勢いる。
しかし、今は何故か様子が少しばかり違うのである。
地酒の糸力を有名にしたもの、それはズバリ、カレーである。
「地酒屋でカレー?」と疑問に思われる人も多いことだろう。そのとおりである。
ことのおこりは、お店の裏メニューで出されていたカレーが時々常連さんに出されていた。糸力の大将は元来、洋食を主としていたことは知られざる事実。その裏メニューであるカレーをコピーライターである糸井重里さんの口に入った瞬間から様相は一変した。
氏曰く、「世界一美味しいカレー」であるようだ。何はともあれ、そのときから富士吉田市には芸能人をはじめ、多くの人々が街角で「糸力はどこですか?」と訪ね歩く光景が頻発した。確かに一見さんにはお店の場所が難しい。
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