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富士山麓の薬味とマスを使用した名物料理 「富士まぶし」 |
「富士まぶし」とは | |
鱒の炊込みご飯をまぶし鱒を楽しみ、次に旬の薬味や自家製の添物を乗せて味の変化を楽しみ、最後は出汁(ダシ)で茶漬け。 まずは、鱒をご飯でまぶし、鱒の香りと触感を感じて一膳目を頂く。…なるほど。 四膳目以降はご自身で季節とお店の風味を楽しんで、お好きな食べ方で何杯でもどうぞ。 ※姫鱒(ヒメマス)の漁期にあたる、3月〜5月と10月〜12月は特別料金にて富士姫まぶしを提供いたします。通年提供できる虹鱒(ニジマス)より身がしまっており、香りも強いのが特徴です。提供店舗情報にてご確認ください。 |
「富士まぶし」誕生物語 | |
■山の名脇役… ご存じの通り、少し前までの富士山麓(特に富士北麓地域)は標高が高いうえ富士山の火山灰で海の幸に薄く、良い農作物が採れませんでした。そのような環境の中でも人々は木ノ芽や山菜・キノコなど山の恵みを採取し、旬の食材として楽しんだり、加工して保存食として活用してきた歴史があります。現在では品質の良い高原野菜や美味しい食材も栽培される当地ですが、今でも近所のおじさんもおばさんもお年寄りも皆それぞれに自家製の味噌などに採取した薬味を混ぜて保存食を作って食したり、作り方を教えあったり、味の自慢をしあって、おもてなしをしています。 「家の裏でフキノトウが出てきたから皆で食べてちょうだい」、「去年漬け込んだ山椒が上手にできたから試してみて」、… 実は地元の人にとって、この当たり前の食べ物が大変美味しいとは全く気が付きませんでした。「ネギ」と「味噌」と「削り節」を混ぜ合わせたいわゆる「ネギ味噌」でご飯が何杯でも食べられると言いますが、余りに日常的で「おもてなし」とは言えないと思ってきたからです。ところが、季節の山の物や各家庭の自家製保存食は千差万別で、富士山麓地域の豊かな山の恵みがそのようにさせているのかもしれません。そして、これらの食べ物を当地にやってくる人に勧めてみると一様に感嘆の声を上げることに気が付きました。 今までは脇役に徹していた地元の旬の薬味と地元産の保存食は本当に美味しく、決してただの脇役なんかではなく、立派な主役も張れる名脇役であると、何度も試食会を開催することによって認識するに至りました。 ■湖の主役… 河口湖、西湖、精進湖、本栖湖の四つの湖を要する富士河口湖町は淡水魚が豊富で、特に2010年に絶滅したとされていた国鱒が西湖で再発見されたニュースは記憶に新しいと思います。つまり、淡水魚(鱒)を食材にレシピを作成することは自然の流れで、今までもこれからも主役であり続けることは間違いありません。 地元の美味しいものを見つける住民グループ、「んめぇ〜もん倶楽部」では富士山麓産のこだわり食材の一つとして当地でも珍しい姫マスを使用したレシピ開発を進めていました。その一般向け試食会の中で特に評判がよく大好評だったものが、「櫃まぶし」にヒントを得た「姫まぶし」で、すぐにも一般公開したいという声に溢れました。しかし、先に記した通り姫マスは貴重な魚で安定して提供するには困難な食材であるという壁に遭遇してしまいました。 そこで、味と香りは姫マスより淡泊な虹マスに注目した結果、それが却って食べ易くなり、調理の工夫次第では「姫まぶし」同様に美味しく仕上げることに成功して「富士まぶし」として提供できることになりました。ちなみに、姫マスを入手した場合は「富士姫まぶし」として少々高価になりますが、各店舗で提供される予定ですので、その味と香りの違いを楽しんでください。 ■結果、山の名脇役と、湖の主役が炊き込みご飯の演出を経て最上級の舞台を醸し出しました。 鱒の炊込みご飯だけでも素晴らしく美味しいのですが、そこに採れたて旬の薬味と自家製の添物を乗せて食べると全く別の食べ物に変化し、しかもバリエーションが店舗ごとに個性を出します。さらに出汁(ダシ)を注いで茶漬けにしてすすると再び違う顔を見せます。これはまるで「個性派俳優と主演女優の上質な映画のようである」と言ったら言い過ぎになってしまうのでしょうか? 富士河口湖町の新しい名物料理を是非、ご自身の舌でご賞味あれ。 |
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