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【冨士御室浅間神社 本殿】
本宮は富士山北口二合目に鎮座し、富士山中で最古の神社と云われています。
武田三代が深くうやまい、社宝に「武田不動明王座像」「勝山記」があります。
御室浅間の龍は、社殿にほどこされた彫りものの龍です。でも、なだれで社殿が押し流されたあとも生き残ったほどの、たくましい龍でした。
勝山浅間神社の山宮は、富士山二合目にまつられている御室浅間神社です。その昔、この山宮の社殿にほどこされていた彫リものの龍は、たびたび山宮からはい出しては山をくだったようです。そして、山すその村に現れては暴れ回リました。「なんとかしてくれ、困るじゃあないか」村人から苦情を言われるたぴ、宮司さんは大弱りでした。
富士山に大きな雪代(ゆきしろ)が起こったことがあります。雪代というのは、富士山の雪が急激な気温の上昇でいっ時のうちに溶け、押し流れてくる恐ろしい現象です。雪代の流れる道筋にあったために、集団移住した村もあるほどです。
この雪代で、御室浅間の社殿はあとかたもなく吹き飛んでしまいました。しかし、雪代のおさまった富士を見上げると、なんと龍はしっかりと山肌にしがみつき、たくましく生き残っていました。
宮司さんはほっとしたり、驚いたりで「これからまた方々暴れだして、村人を困らせることになったらどうしよう」と考え込んでしまいました。そこで龍を河ロ測のほとリの里宮へ連れていき、宝蔵のなかに閉じ込めてしまいました。
乱暴者の龍てすが、その後は村を救いました。
この龍が現われるとかならず雨が降ることもあって、湖畔の村が干ばつにみまわれると神司さんにお願いし、龍を河ロ湖へ放ち、お祈リをし、雨乞いをしました。でも、こうしたときも、龍には綱をつけたそうです。湖を勝手に泳ぎまわって、また大暴れされたら困るからです。
困ったリ、助かったりの、龍です。日本一の富士山で育った、不思議な力をもった龍です。
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